【大学・院 退学】 影で散っていった学生たち - ブラック研究室でも生き残りたい -

現在研究室に所属してきた方々は、様々な理由で大学または大学院を去っていく人を必ずと言って良いほど見ていると思います。それくらい、退学というのは身近でそこそこ起こりうる話です。ここでは、そんな身近で起きた退学のお話と、今考えれば学生や教員でそれぞれこういう対策があったよな、というような反省を書こうかと思いました、、、

実際のケースを紹介

実際のところ、去っていく理由も人それぞれです。自堕落で全く研究室に来ないことが原因の人もいれば、人間関係が問題になる人もいます。前者の場合は本人に責任がありますが、後者の場合は指導教員や先輩の影響も大きいです。しかし結局、どちらの場合であっても退学という選択肢は極力避けたいですし、さっさと卒業して次へ、というのは変わらないと思います。

そんな中、私がいた研究室はブラックに近いグレー研究室でした。3年間で5人が去っていきました。主な原因はやはり学生と指導教員の関係にあったと思います。以下にいくつかの例を挙げていますが、ブラック度が高いほど指導教員の非が強くなっています。

1.1【ブラック度 - 】  気弱で逃げ癖のあるB4 A君の場合

低モチベ気弱な学生 ×  成果・放任主義の教員

学生が音信普通になる

・あらまし

 A君は研究室に入る前の段階で、単位ギリギリ、出席ギリギリ、遅刻常習でした。研究室に入っても生活態度は変わらず、ミーティングやゼミでの遅刻や欠席は良くありました。その上、友達も少なく研究室内での会話も無いために誰もフォローをする事はありませんでした。にも関わらず、飲み会は必ず出席するというナゾの勤勉さがありました。

 そんな彼も、研究室に来た時は実験をしっかりやるなど目を見張る部分もしっかりありました。しかし、5月・6月と過ぎていくにつれて研究室に来る日数が減り、月1の進捗報告の日は病欠する事が常でした。ついにB4の7月には全く来なくなり、指導教員Xの電話や先輩の連絡は全部無視する様になってしまいました。

 しかし驚きの点は、そんな状況でも学生飲み会には必ず出席するのです。マジか! 当然、飲みの場て久々に対面するわけですから、ついつい言ってしまうわけです。"A君さぁ、連絡無視して何やってんの?"と、、、そうすると彼は急にバツが悪くなったかのようにシュンとして、半泣きになるのです。

 こういった事が続いたある日、指導教員Xが痺れを切らして、やる気ないなら今後どうするのかとメールで迫ったのです。つまり、研究をするのか留年するのか、退学するのかどれかを選べという事です。そう迫ったところ、彼は突然"うつ病にかかったので休みたい、指導教員Xが怖くて話したくない" そうメールが来たのです。そこで最終的にはA君の父親が指導教員Xに留年する旨を連絡する形で終結しました。その後2年以上経ちましたが、彼が研究室に現れることはありませんでした。

・反省点

 いま振り返っても、このケースの留年・退学回避はとても難しいように感じます。なぜなら、本人に卒業する意思が無いためです。本人自身が嫌なことからすぐ逃げてしまい、また指導教員からの援助すら断ち切ってしまうタイプだっだからです。当然、学生からの声かけもするべきだったと今なら思います。ですが、やる気ない学生に構うほどの時間もないのが現状でした。先輩として、どうすれば良かったのか?

 私の目から見た場合、指導教員Xはとても温厚で、研究者には珍しく常識的な感覚をお持ちの方でした。ただし、基本的には学生主体で動くことを前提にした放任主義タイプであり、学生の義務は月1回の進捗報告のみでした。学生自身から質問に赴けば、必ずしっかり時間をとって適切なアドバイスをくれる教員ですが、コアタイムやゼミも無かったので、自己管理が出来ない学生には相性の悪い指導教員だったと思います。また、成果のない学生をテキトーに卒業させるような教員でも無かった点もドロップアウトに至った理由ですね。ですが、教員に非はほぼないのでブラック度は低いです。

1.2【ブラック度★】悩みを抱え込むM2 B君の場合

内向的な学生 ×  放任主義の教授

精神的な爆弾を抱え込んだ引きこもりへ

・あらまし

 B君は、とても物静かな学生でした。しかし別に会話をしないわけでは無く、自分から話しかけることはなくても、話しかければ必ず返答をくれる職人タイプの学生でした。実験も指示されたことであれば 着実にこなし、報告もできる学生でした。この時の指導教員は2.1のパターンと同じX教授です。学生主体で動くことを前提にした放任主義タイプです。

 学部時代や修士1年目は非常に順調だったと思います。はたから見て、B君もX教授も会話することは多くなかったですが、メールでしっかりやり取りをしており、研究生も上々でした。しかし事件が起きたのは、就職活動が始まってからです。就活が始まると、研究室に来る回数は週1回程度に落ちていました。それでも、週1回は来ていたので就活は順調か?という話も出来ていました。そういった生活が2か月過ぎたM2の3月ころ、B君はまったく研究室に来なくなってしまいました。教授としては、就活が忙しいのだろうということで連絡を取ることをしませんでした。

 そうしてGWが過ぎたころ、そろそろ就活が終わっていてもおかしくないのにもかかわらず、まったく連絡がないということで教授がC君にメールや電話をしました。しかしながら、まったく反応がなくのまま1週間以上が過ぎてしまいました。これはまずいということで、実家に連絡をしたところ、B君は一人暮らししていた家を離れ実家で引きこもっていることが判明したのです。そしてその理由は、就活でESや面接が全く通らず、自分は無価値だと心を閉ざしていたようです。その後は悲惨で、うつ病の診断書を大学に提出しM2最後まで休学することになりました。

 彼は半年間休学したのち、研究室に復帰し公務員試験を受けましたが、結果ダメでした。その後はX教授が卒業生のつてを頼りに就職先を斡旋し、無事C君は内定を確保しました。また、実験データ自体はあったため、普通に彼は卒業していきました。

・反省点

 振り返ると、B君にプレッシャーを与えていたのかもしれません。就活が決まっていない中、就活の状況を聞いてみたりしたのは圧力になったのかもしれません。また、同期が内定を確保していき取り残された彼は研究室に来ることがつらかったのかもしれません。にもかかわらず、我々は大丈夫だろうという推測の元、彼を放置してしまいました。

 内向的なタイプと放任主義の教授は、一度でも肉体的に距離をとると離れていく一方で、また近づくことはとても難しいのかもしれません。放置することもまた、アカハラなのかもしれません。ブラック度は★です。

1.3【ブラック度★★】活発で自信家なB4 C君の場合

自信家な学生 ×  徹底管理主義の高圧教員

プライドが高く意固地な学生誕生

・あらまし

 C君は、学力的にもビジュアル的にも自信たっぷりの学生でした。本人がどう思っているかは分かりませんが、少なくとも周りの多くの人間がそう感じていました。その理由として、C君は質問やコメントされた際、(物事の正解がどうであれ)必ず自分を守る行動をとることが多い学生でした。具体的には、どのような質問や指摘にも回答はしてくれるのですが(ここは素晴らしい)、”意見を受け入れる"ということをせずに必ず"いや"とか”でも”という表現で返す学生でした。その結果、研究を前に進めることが目的なのにもかかわらず、本質とはズレた議論に脱線し、自分の発言を正当化することが目的に代わっていました。

 このような学生の性質から、教授と対立することが数多く見受けられました。この時のY教授は、学生の実験や解析を毎日把握したがるような管理主義のタイプでした。また、(教員の視点から見て)学生が非効率な方向に進みそうな場合は、深い理由を説明せずに感情的に方向性を強制変更するタイプでした。より具体的には、研究室に午後4時ころに現れ、学生全員に進捗を聞いて回り、少し不穏な研究を行っていた場合や前日指摘された箇所が修正されていない場合には、その学生を捕まえて「なぜ修正しないのか、私の言うことが聞けないのか」と机をバンバンたたきながら問い詰めることが良くありました。

 自分の意思に沿うように学生を操りたいタイプの教員とB君の相性はめっぽう悪かった。C君は自分の考えで実験を行うが、教員の指摘には一切従わないということが多々発生し、軋轢は深まる一方であった。先輩(私)の目線から見ると、C君の研究方針は段階を踏まずに、1発で成果を出す(実験条件を1度にたくさん変える)という形で効率的ではないように感じていました。したがって、指導教員の指摘はごもっともだと思っていました。しかしながら、Y教員も無理やり学生を従わせようと高圧的な議論を迫ったために、B君が本音ベースで話せない環境を作っていたとも思います。

 この時、私はC君とY教授の仲を取り持つことは出来ませんでした。なぜなら、C君は私にも「口出しはしてくるな」と言わんばかりに、敵対的な対話ばかりをしてきたからです。なので私としては、C君の好きにやってくださいという気持ちになってしまいました。その結果、彼は最後まで実験結果を残すことが出来なかったうえに、Y教授からも「ほらね」と言わんばかりの叱責を受けていました。卒業論文を書く1月は、毎日1時間以上のC君とY教授の口げんかになっていました。最終的には、C君はY教授のもとで修士課程へ進む予定でしたが、入学辞退し大学を去りました。その後どうなっているのかは、私も知りません。

・反省点

 振り返ると、研究室の誰かがもっと受容的になれればよかったのかなと思います。理系の研究室は、積極的といいますか攻撃的な思考を持つ人が比較的多いです。考えを互いにぶつけ合うという理系の性質上、そうなりやすい環境だと思います。今回の場合、私含め学生も攻撃性が高く、教授もより攻撃的な思考にあったために、落としどころが見つからないという事案が起きていました。誰か一人が受容的に、例えばB君が「卒業が目的だから自分の本意ではないけど教授の言うことに従おう」というマインドになれば回避できた結末かもしれません。私も、もう少し伝え方を工夫してB君に助言が出来れば、研究成果につながったのかもしれません。

 根拠のないプライドから意固地になる学生にも非があります。一方で、自分のスタイルを押し付け続けた教授にも非があります。また、アカハラやパワハラともとれる言動も多くみられました。ただし、研究の拘束時間が1日6時間と短い点や、教授が学生を動かそうと熱心だった点を考慮すると、ブラック度は★★です。

1.4【ブラック度★★★】教授に畏怖したM2 E君の場合

学業優秀な学生 ×  徹底管理主義の高圧教員

恐怖で発言できなくなったエリート

・あらまし

 E君

・反省点

 振り返ると、

1.5【ブラック度★★★】雑用ばかりで向上心を失ったD3 F君の場合

健診的な学生 ×  徹底管理主義の高圧教員

怒られないように生きていく事が目的に

・あらまし

 F君

・反省点

 振り返ると、

2. まとめ

2.1 やめていく学生の共通点

共通点

 ・

2.2 どうにかして生きのびていくためには

大事なこと

 ・

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