【DC採用】R04(2022) 学振申請書 作成例とそのコツを限定的に公開!! PART1 注意点や意識した点を解説
皆様お疲れ様です。
このページを開いているということは、これから新たに申請書を書き出す方達でしょうから" 頑張ってください!! "以外にかける言葉が見つかりません。相当大変な作業ですから、少しでも皆様の参考になればと申請書を公開したいと思います。
※R03(2021申請)からR04(2022申請)で大幅にテンプレートが変更されましたが、今後も同様のことがあるかと思います。テンプレートが今と異なっても文句ナシでお願いします。
0. 申請書の公開方法
申請書は公開と言いながらも以下のメールアドレスに連絡があった方のみにご送付いたします。その理由にもなりますが、以下の項目について確約できる人のみご連絡ください。
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- 申請書は個人を特定できる情報も多く、お渡しすることは研究倫理の観点ではグレーゾーンです。なので、個人情報を省きかつ、研究の重要なキーワードとなるような固有名詞は黒塗りにします。(文章構造や体裁はそのままですので、自らの申請書作成の参考になる部分は活きていると思います。)
- メールアドレスへご連絡頂いた方以外への横流しを禁じます。
- Pdfのパスワードを他者に教えることを禁じます。
- お渡しするのは申請書のみです。指導教員の推薦書は公開はできません。
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以上のことを守れる方は、大学名とニックネームを記載の上メールください。早急にお渡しします。 (Mail: nn4277499@gmail.com )
1. 【このページの注意点】
すでに多くの方が学振の書き方などはブログでも本でも書いていると思います。私にはそこに書かれていること以上のことは書けません、というか同じ意見なので書く意味がないです。私も大上先生の本を参考にして書きました。
学振申請書の書き方とコツ 改訂第2版 DC/PD獲得を目指す若者へ (KS科学一般書)
- 作者:大上 雅史
- 講談社
ですが、私の実際の申請書を見ながらだと話は別です。実際の申請書の具体例を示しながらであれば、書き方の注意点や工夫点を詳細に説明することができます。なので、以下の説明は私の申請書が手元にあるとより理解できるように書かれていると思います。大切なお時間が無駄にならぬよう見る価値があると判断した人は参考にして頂き、そうではない人はブラウザバックすることを推奨します。
2. 学振申請書のレイアウト
2.0 筆者の研究業績
DC1においては研究業績よりかはポテンシャルを鑑みた採用がされると思います。ですが、DC2では人によって業績の差が顕著に現れます。参考までに、これくらいでDC2採用になった人もいる程度に考えてください。
研究業績
- 学術論文(国際紙、査読あり):1st 2本(うち1本投稿中)
- 国際会議:1st 1件
- 国内学会:1st 4件
- 受賞:3件(うち学会表彰1件、大学表彰2件)
- その他:TA、給付型奨学金、GPA、授業料免除など7件
2.1 申請書の体裁
全体の体裁としては、以下の通りです。
体裁の一例
- 基本の書体:MS明朝 or Times new roman
- 強調:下線
- 大見出し:MSゴシック or Arial、Bold、網掛け、下線
- 中見出し:MSゴシック or Arial、Bold、下線
- 小見出し:MSゴシック or Arial、Bold
- フォントサイズ:11pt
- 行間:固定値16pt
- 配置:両端揃え
- インデント:左右0 字、字下げ、幅0.5字
- 図のキャプション:MS明朝体 or Times new roman、10pt
- 引用文献:Name et al., 雑誌名, 巻数(年数), ページ番号
2.2 書いた順番とタイムスケジュール
学振の申請書を書くのはとんでもないストレスになります。これまで多くの経験をしてきた皆様なら分かるともいますが、何よりも肝心なのは書き始めることです。そしてここが最もエネルギーを必要とするところであり、一度筆が進むとそこそこ書けたりします。経験者としては、この書き始めに必要となるエネルギーを下げることが重要だと感じています。そこで登場するのが書く順番です。
実際のスケジュール
- レイアウトと見出しを書く(3月後半)
- 【研究遂行力の自己分析】における研究リスト(3月後半)
- 【研究計画】(1) 研究の位置付け(着想に至った経緯以外) テキトー版(4月1週)
- 【研究計画】(2) ①研究目的、研究方法、研究内容 テキトー版(4月1週)
- 途中でもいいから先輩・助教に見てもらい修正(4月2週)]
- 【研究計画】(2) ②どのような計画で何をどこまで テキトー版(4月3週)
- 【研究計画】(2) ③研究の特色・独創的な点 テキトー版 (4月3週)
- ここまでの申請書を指導教員に少なくとも2回見てもらう (4月3週)
- 記入した箇所を本気版に仕上げる(4月3~4週)
- 【研究計画】(1) 研究の位置付け 着想に至った経緯を書く(4月4週)
- 【研究遂行力の自己分析】を書く テキトー版(4月4週)
- 【目指す研究者像等】を書く テキトー版(4月4週)
- 恥ずかしがらずに指導教員に見せて、ボコボコにされる(4月4週、遅くとも5月1週)
- 期限が迫ってくるので死ぬ気で修正(5月1~2週)
- 図のクオリティを上げる(5月2週)
- 最終確認(5月2週)
- 提出(5月2~3週)
指導教員に申請書の添削を受けないで提出する人がいるそうですが、それでは高確率で学振は取れないと思います。せっかく学費も払っているのですから、申請書の指導というなかなか受けれれない好機を最大限利用してください。表現や文章構成などは、また論文とは違った別次元のものです。これの技術を少しでも盗めれば今後一生使えるな!と私は感じましたね。テキトー版と書いているのは、"自分で時間を決めて考えれるだけ書いたもの"という状態です。この状態ができたら早く誰かに見せるべきです。結局自分で追い込んでも時間が浪費してあまりブラッシュアップされないというのがオチです(経験談 笑)
では、ここからは詳細な解説になります。頭に出てくる通し番号は申請書に振られている番号と共通です。該当箇所を見ながら参考にしてください。
2.3 記述内容のおまかな配分
私の場合、初めて申請書を見たときは"文章や図をどの程度、どこに配置して書くのか"に相当悩みました。これもあくまで参考ですが、記しておきます。
記述配分の一例
【研究計画】(1)研究の位置付け 合計1ページ分
- 当該分野の状況 0.3ページ(図含め)
- 当該分野の課題 0.3ページ
- 本研究計画の着想に至った経緯 0.3ページ
- 参考文献 0.1ページ
【研究計画】(2)研究目的・内容等 合計2ページ分
- 研究目的 0.2ページ(図含め)
- 研究方法、研究内容 0.3ページ
- どのような計画で、何を、どこまで明らかにしようとするのか1 ページ
- 研究の特色・独創的な点 0.3ページ
- 申請者が担当する部分 0.1ページ
- 参考文献 0.1ページ
【研究遂行力の自己分析】(1)自身に関する強み 合計1.7ページ分
- 研究における主体性 0.2ページ(図含め)
- 発想力、問題解決力 0.2ページ
- 知識の幅、深さ、技量 0.3ページ
- コミュニケーション力 0.2ページ
- プレゼンテーション力 0.1ページ
- 業績リスト 0.7ページ
【研究遂行力の自己分析】(1)今後研究者として〜 合計0.3ページ分
- 問題解決能力 0.1ページ(図含め)
- 表現力 0.1ページ
- 語学力 0.1ページ
3. 申請書の解説 PART1
3.1 【研究計画】(1) 研究の位置付け
・P3-1 :大まかな解説をつける
申請書において、出だしというのはとても重要です。審査員の心情を考えると、申請書のデザインと最初の書き出しだけである程度の出来・不出来を分別したいはずです。なので、以下に出だしで"簡便な研究概要"を書くかが求められます。
・P3-2 :自分の研究テーマより少し広い分野の紹介から入る
研究計画を見る人たちは研究のエキスパートですが、それでも個々人の研究テーマの領域まで詳細な知識を持っている人は多くありません。なので、自分のテーマに入る前に"こんな話をしていくよ!"という大まかな分野紹介を入れています。これで、これ以降の文章が理解されやすくなります。
・P3-3 :研究テーマにおけるキーワードを一文で強調して書く
これからよく話題に上がる研究の要となるキーワードについては、下線を引いた上で、必要十分かつ簡潔な説明をつける。人によっては2文とかにもなると思いますが、重要なことは相手をわかった気にさせることです。この前半戦で、"んっ?"と思われると今後かなりの苦戦を強いられます。スッと入ってくる最高の説明を考えましょう。
・P3-4 :当該分野の課題を説明する前に布石を置く
次のブロックで研究課題を説明していくわけだが、その前にあらかじめ"従来わかっている結果を示唆"しておくことで、課題説明への流れを作り、読み手にわかりやすくした。
・P3-5 :(課題提案)何がどんな理由でどこまでしかわからないのか
ここは申請書の研究計画における大事な土台です。多くの研究の場合、何らかの課題がある取り組むわけですから、ここを明確に語れなければ評価は大きく下がると思います。課題が不明瞭であればあるほど、これから続く研究目的やその検証方法の妥当性を審査員は評価できなくなります。重要なことは、引用文献を用いながら"何が"、”どんな理由で”、"どこまでしか理解できていないか"を記すことです。また、これまでに記述した内容で理解できるような課題を提案する必要があります。
・P3-6 :自分の業績を引用しながら、着想の経緯を書く
着想に至った経緯の箇所は、自分の業績を自慢するチャンスです。自らが発見した、調査した内容をもとにして博士課程ではどんなふうにステップアップさせるのかを書きましょう。DC1で論文がないという人でも、修士課程の研究内容をアピールしましょう。
・P3-7 :着想に至った経緯の後半は、博士研究への導入へ
研究の課題点や、修士課程の内容は紹介し終えているので、ここでは博士研究のイントロを書いています。ある意味では、次ページ以降の博士の研究計画を読みやすくするための次回予告を書いているようなものです。この段落を見るだけで、次ページの内容がおおよそ分かるような大雑把な紹介をしています。
・P3-8 :参考文献に自分の論文を入れましょう
参考文献は必ずつける必要がありますが、しっかり自分の著書を入れましょう。そして、自分の名前のところをBoldにしておくとアピールできます。
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長くなってきたので、本ページではここまでです。Part2はすぐにupします。これ本当に誰かの参考になるのかな?と思いながら書いてきましたが、どうでしょうかね?助けになれば幸いですが、、、