【進路選択】金銭面から見た大学進学のススメ (高専生・高校生向け) PART1

【概要】

大学へ進学するかどうか迷っている高校生や高専生へ向けた、内容です。生涯賃金という視点から、大学へ進学する意義について説明しています。

【結論】

平均の生涯賃金を概算すると、高卒と比較して大卒ではおよそ5000万円ほど高く、院卒ではおよそ1億円も高くなる。したがって、5000万円以上の追加賃金を得るために、4年間追加で勉強したいという気概がある学生は、大学に進学をオススメする。

【お金という価値観】

今回はお金という価値観をもとに、大学に進学すべき理由を語っています。私の中で「お金」、すなわち収入は、「自分が他者に与えた好影響を数値化したもの」という認識をしています。また、収入は自らの人生を最も豊かにす要素であると考えています。お金があれば、好きなものが食べられ、好きなとこに住め、好きな服を着て、時間を好きに過ごせます。

お金がなければ、空腹にあえぎ、不衛生で寒い場所で日々をしのぎ、ぼろ切れに身を包むことになります。私はひもじい生活をしないために、家族にそういう生活をさせないために勉強をしてきました。この価値観に賛同できる方は、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

■学歴は収入レベルを決める

図1は、学歴別の生涯賃金を示したものです。こちらのデータは、厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」から引用しています。このグラフから、大きく4つのことが言えます。

図1 学歴別の平均生涯賃金

学歴と生涯賃金の関係性

  • 学歴が上がるにつれて、生涯賃金は上昇する。
  • 男性の場合、「高校卒業」「専門学校卒業」では、生涯賃金はおおよそ変わらない
  • 女性の場合、「専門学校卒業」「高専・短大卒業」では、生涯賃金はおおよそ変わらない
  • 男性と比べ女性の平均賃金は、20%程度低い

これらのことから、男女に関わらず大学で4年間勉学することで、高卒と比べて最終的に5000万円ほど資産が多いといえます。ただし、図1のデータはあくまで平均です。つまり、高卒で3億円稼ぐ人もいれば、大卒で2億円の人もいるということです。では、他者より多くの収入を得るためにはどうすればよいのでしょうか?

収入レベルは何によって決まるのか

厚生労働省の調査(令和5年賃金構造統計調査)を鑑みるに、我々の生涯賃金は大まかに以下の7要素によって決定づけられています。

賃金を決める7要素

  • 学歴 (高卒、専門学校卒、短大・高専卒、大卒、大学院卒)
  • 年齢(20-65歳)
  • 性別(男性 or 女性)
  • 業種(建設、医療、製造、飲食 etc.)
  • 業務範囲(総合職、一般職)
  • 雇用形態(正規雇用、非正規雇用(派遣))
  • 役職(社長、部長、次長、係長、etc.)

1. 学歴

 図1で示した通り、学歴は生涯賃金に大きな影響を与えます。したがって、収入を増やすことを第一目的にするのであれば必ず大学進学すべきです。また、学歴は後述する業種や職種選択にも多大な影響を与えるため、生涯賃金に対して最も強い相関関係を有しています。

ただし、大学進学には大きなデメリットが存在します。それは、18-22歳という非常に貴重な時間を勉学に費やしてしまうことです。また、一人暮らしになる方が多く、金銭的不安や生活習慣の乱れが発生し、4年で卒業できない可能性があります。ただしこれらは、選択する大学や学部、自分の勉学意識によってはデメリットにならない場合があります。

2.年齢

 図2に学歴別の平均月収の推移を年齢に合わせて示しています。こちらのデータは、厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」から引用しています。このグラフから、大きく4つのことが言えます。

図2 年齢ごとの平均月収の推移

平均月収と年齢の関係性

  • 学歴に関わらず、平均月収は年齢と共に上昇し、55歳でピークを迎えて以降減少する。
  • 高卒の場合、平均月収は45歳時点でほとんど頭打ちになる。
  • 学歴の違いによって、就業開始年齢が異なり、高卒の方が24歳までの資産が多いと予想される。
  • 25歳までは学歴によって月収は大きく変わらないが、以降は大きな差が生じる。

 図2に示した通り、25歳の段階では学歴によらず25万円前後の賃金が得られ、その差は大きくありません。ただし30代以降になるとその差は顕著になり、55歳時点で高卒と大卒とでは17万円の差、高卒と院卒では30万円以上の差が生じます。表現を変えれば、高卒55歳の月収は大卒32歳と同程度ということになります。つまり、4年間勉学に励むことで30歳代から比較的高い賃金が得られるということです。

3. 性別

 図1に示した通り、おおよそ学歴に関わらず、男女間で生涯賃金に5000万円の差が発生している。まず想定されるのは、女性の役員が少ないという可能性である。役職の賃金の関係性については後述するが、役職が高いほど当然ながら賃金が高い。現在の女性役員比率は11.4%(2023年)であることから、男性と賃金の差が開くということが考えられる。

 もう一つの原因として考えられるのは、就業職種の偏りが存在することである。こちらも後述するが、職種によっても賃金が大きく異なる。特に鉱業や建設業といった肉体労働を要する業種や、理系の専門職種は賃金が高い傾向にある。従って、これらの職種を女性が敬遠する(男性社会である)ために、生涯賃金に差が生じているかもしれない。これらをまとめると、賃金と性別に相関があるのは、本質的には女性が役員になりにくいことや、就業職種と強い相関をもっているからであり、性別は関係ない可能性がある。

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